2019.08.26
沖縄県「オープンイノベーション創出促進事業」の一環として、2019年7月23日(火)、コワーキングスペースhowlive那覇久茂地・タイムスビル店にて、資本政策セミナー「What’s VC?(ベンチャーキャピタルってなんだ?)」を開催いたしました。当日は、起業家や支援機関、起業したい方など合計51名、多くの方にご参加頂きました。
講師の池森ベンチャーサポート合同会社(略称:ivs)事業責任者・山岸 朝典(やまぎし とものり)氏から、以下の内容について講演頂きました。
・池森ベンチャーサポート合同会社は、株式会社ファンケルの創業者・池森賢二氏が創設したファンドで、コンセプトは「社会起業家に、光を当てる。」
・通常のベンチャーキャピタルが組成するファンドは、運用期間を10年で設定している。出資先は、この運用期間内(最長10年)で、IPO(新規上場株式)かM&A(企業の合併や買収)という方法でイグジット(株式を売却し、利益を得ること)をしないといけない。
・池森ベンチャーサポート合同会社(ivs)は、ファンド満期を40年で設定しているため、足の長い投資ができる。
・企業の資本政策は、後戻り出来ない。そのため、起業するなら、資本政策をある程度分かっておかなくてはいけない。
・借入と出資の違いについて、借入は“返済義務がある”、出資は“返済義務は無いが、期間内でイグジットして、出資者に利益を生まなければならない”。
・国内のエンジェルの投資は、数百万円〜1千万円ぐらいが多い。
・昨年、投資型クラウドファンディングの形態で、15億円が調達された。
・投資型クラウドファンディング大手のFUNDINNOは、累計21億円をベンチャー企業に出資している。
・クラウドファンディングの課題は、多くの株主を抱えるため、その中に反社会的勢力が入っていないか分からない事。メリットとしては、ファンが付く事。
・起業家は、じっくり育ててIPOしたいのか、急ぎでIPOしたいのか、しっかりと戦略を立てなければならない。
・出資の受け入れについては、どんなに甘い事を言われても、その場で即決はしないことが大事。
・資本政策は、未来を見据えながら逆算で考え、決定しなければいけない。
・“今しばらく、いくら必要なのか”を、しっかりと検討し、把握しておかなければならない。
・共同創業者がいる場合は、創業者間契約書を作っておくことが大事。
・バリュエーション(企業価値)は線形で上がっていくのではなく、各成長段階におけるマイルストーンを達成すれば、階段式で上がっていく。そのため、資金調達は、なるべく遅らせた方が良い。
・バリュエーションを高めながら、その時点から次の調達時期までの必要最低限の資金を調達していく方法が良い。
・資金調達のタイミングが早ければ早いほど、創業者が維持する株式比率は下がってしまう。
・VCの種類には、大きく、独立系、金融機関系、事業会社系、政府系の4つに分かれる。
・VCからの資金調達は、通常、半年程度の期間が必要。
・出資者には、お金に余裕のあるVCも入れておきたい。不測の事態が起きた場合、一時的にお金を入れる“ブリッジ”を入れてくれる可能性があるから。
・創業する際は、将来の100を意識した、0→1に取り組んでいかなければならない。
・日本人はもっと海外に目を向ける必要があるのではんじゃいか。海外留学生毎年10万人いるが、1年以上留学する人は、2,000名しかいない。明治維新頃の海外渡航者数と変わらない。
温和で理知的にお話される山岸氏に、多くの方が相談しやすいと感じられたようで、質疑応答の時間では、具体的な相談事例が数多く上がり、参加者みなで学びの多い場となりました。
最後に、私たちは、今後も、このような学びの場を提供していきます。新規事業およびサービスを推進中および検討中の皆さま、次回のセミナーも是非ご確認頂き、ふるってご参加頂きたいと思います。