2019.04.05
2019年2月25日(月)、沖縄県教職員共済会館 八汐荘にて、第10回フューチャーセッション「農業×IT vol.4〜変化の兆しから今を考える〜」を開催しました。
シリーズ第1回目のフューチャーセッション「農業×IT vol.1」では、沖縄農業全体の現状と課題の把握を目標に沖縄農業について情報を共有し、大きな視点から対話を行いました。第2回目では「農業×IT vol.1」で浮かび上がった論点に的を絞り課題解決のための糸口につながる深い議論を行いました。第3回目は、これまでの「現状の課題を現在知っている解決策で対応する」という枠組みを超えて未来志向で沖縄農業について考えることで、これまでの課題に潜む潜在的な問題点をあぶりだし、新たなリスクや価値観に対応できる解決策を探るための対話を行いました。
これまでを踏まえて、本テーマの最終回となる今回のフューチャーセッションでは、これまでの対話の内容を踏まえ、望ましい沖縄農業の実現のためこれから先の10年でどのようなアクションをし、今後、どのような人たちと連携していけばよいのかについて考えました。
[1] これまでの対話で取り上げられた「変化の兆し」を参加者と共有
前回のフューチャーセッションでは、沖縄や世界の農業を取り巻く社会の「これまでの10年間の変化」と「これから10年後(2028年)」の変化について話し合い、次の5つの「変化の兆し」を導きだしました。
これらの「変化の兆し」を参加者に解説し、共有しました。
(変化の兆し1)農業生産法人が増え、就農しやすい環境へ
→ 就農に対する価値観が変容しパラダイムシフトが起きている。
(変化の兆し2)農業の担い手不足
→ 農業における慢性的な人手不足から省力化を目指す動きが出てきている。
(変化の兆し3)気温(気候)の変化
→ 気候変動に対応できる営業方法が考案されつつある。
(変化の兆し4)農業ビジネスの普及
→ 農業を“ビジネス”として経営する人が増えてきている。
(変化の兆し5)農業テクノロジー(AgriTech)の技術向上
→ 現在の様々な課題への取り組みが始まっている。
[2] グループダイアログ
5つの変化の兆しを踏まえて「私たちは“沖縄農業のどんな未来を目指すのか”」について考えました。
その結果、
① 素人やセミプロ、新規就農者の農業体験を援助し、より農業に関わりやすい環境を作る組織が必要である。この農業体験をとおして各人の農業の自分事化が図れればよい。
② 農業のプロにとっては、セミプロの活動を助けつつ、労働力を得るような仕組みがあるとありがたい。
③ 資材の共同購入、セミプロへの販路の提供など、セミプロのためのJAのような組織が必要である。
④ 農業にもっとテクノロジーを取り入れた方が良い。JAのような組織が植物工場のようなものを作れれば、気候変動に耐え、高付加価値の商品を安定生産でき、人手不足の解消にもつながる可能性がある。
⑤農業では個人で行っているところが多いため、他産業でもやっているようなシェアリングのサービス(農機具のシェア)やサブスクリプションのような横断的なサービス開発が必要なのではないか。
というような意見がだされました。
以上が第10回フューチャーセッション「農業×IT vol.4〜変化の兆しから今を考える〜」のレポートでした。
今回のセッションでは、過去3回の「農業×IT」をテーマとしたフューチャーセッションの内容を解説し共有しつつ、「私たちは”沖縄農業のどんな未来を目指すのか”?」「望ましい未来とは何か」について対話を行いました。その結果、テクノロジーを用いて高品質・安定生産を目指す農業の実現が望ましい未来であるという意見が出ました。また、農業の生産から販売までをより簡単にするシステムを構築し、より多くの人に農業に関わり自分事化してもらいたい、そしていろいろな人と連携していきたいなどの意見も出ていました。
今後はこれまで出てきた意見をもとに農業の中で細分化したテーマ設定を行い、継続的にセッションを開催していきます。