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第3回フューチャーセッション「農業xIT Vol.1」

2018.10.03

ISCO

第3回フューチャーセッション「農業xIT Vol.1」

2018年9月28日(金)、琉球大学地域創生総合研究棟にて、「第3回フューチャーセッション」を開催しました。

今回のテーマは「農業×IT」。最近は、IT(もしくはIoT)を農業分野において活用し、農作業の省力化、リモート農業、高品質の製品の安定供給などを可能にするシステムの開発が増えてきています。もちろん、沖縄でも農業分野でのIT活用が模索されておりますが、改めて課題を整理し、ITソリューションを打ち出そうということで、今回「農業」をテーマにしました。

そのためには、まず沖縄農業の現状と課題を農業関係者はもちろんIT関係者も深く理解する必要があります。今回開催されたフューチャーセッションでは主に沖縄の農業の現状と課題を共有し深掘りすることに重点を置いたプログラムが実施されました。

今回は、台風が迫る中、農業関係者が6名、IT関係者が7名、その他の分野10名の合計23名の方に参加していただきました。

本セッションの冒頭では、沖縄県農林水産部の玉木氏より「沖縄の農業の現状と課題」をテーマにスピーチをしていただきました。スピーチではマクロな視点から沖縄農業を取り巻く環境について話をしていただきました。

次にミクロな視点から沖縄農業を見ていこうということで、参加している農業関係者から沖縄農業の現場の情報を提供してもらいました。マクロとミクロの視点から沖縄農業についての対話が行われ対話が盛り上がりました。

[1] はじめの挨拶
今回のセッションのファシリテーターの當銘 (ISCOアクセラレートセクションシニアコーディネーター)より、フューチャーセッションについての説明を行いました。

現代の課題は、変動的・不確実・複雑/複合的・曖昧なため、当事者だけでは課題解決が困難になっています。このような課題解決が困難な環境下においては当事者だけでなく、多様な立場の人々(マルチステークスホルダー)が集い、未来思考で対話し、協働して課題に立ち向かうことが重要となります。その対話の場がフューチャーセッションと呼ばれています。

[2]ウォーミングアップ
対話の前のウォーミングアップと参加者同士が打ち解けるために、グループで自己紹介を行いました。名前だけでなく、農業に関して興味があることや食へのこだわりなどを発表していただいたのですが、ここで既に農業の話で盛り上がるグループもあり、農業に対する強い思いを持たれている方々が参加していることが感じられました。

[3] キーノートスピーチ
沖縄県農林水産部農林水産総務課の玉木氏に沖縄の農業の現状と課題、そして沖縄県の農業振興策についてマクロの視点からプレゼンしていただきました。

沖縄の農林水産業の現状、沖縄農林水産業振興策、これまでの振興策の成果とこれからの農業の課題と展望の3つのテーマについて解説していただきました。多様な分野の参加者が集うことがフューチャーセッションの特徴でもあるため、丁寧に沖縄農業の現状と課題、そして沖縄県の活動方針についての基礎的な知識や情報を共有しました。この知識や情報をもとに課題の深堀り・再定義、解決策の探索をしていきます。

玉木氏の発表では、全国で共通する農家の担い手不足という課題だけでなく、本土へ出荷する際の輸送コストが本土に比べ高いこと、全国平均の2倍の数の台風が沖縄に接近するため被害が大きくまた農業共済金の掛け金が高くなってしまうこと、小規模離島は農家・製糖企業の経営が不安定であることなど沖縄特有の課題があることがわかりました。

[4]グループディスカッション
キーノートスピーチに基づいて、「初めて知ったこと」「意外だったこと」等を話し合い、沖縄農業の課題の深堀りや課題解決について話し合っていただきました。

[5]現場の声からミクロな課題を発見する
玉木さんの沖縄農業に対するマクロな視点からの課題に加え、ミクロな視点からの課題についても参加者で共有していくために農業関係者の方から各グループで現場の課題について話をしてもらいました。

農業関係者は3回、グループをローテーションし入れ替わりながら全体で現場の課題を共有していきました。

[6]マグネットテーブル
参加者の皆さんが持つ課題に基づいて分科会形式で対話を行うために、「マグネットテーブル」形式のグループワーキングを行いました。

マグネットテーブルとは、ある参加者の課題に共感した者達がその課題の解決のための対話を行うチームを自発的に作るための手法です。参加者全員が自らの課題を紙に書き、他の参加者に提示することでそれぞれの課題を確かめ合います。一定時間後、参加者は自分が共感できた課題を持つ人の下に集い、その人の課題を解決するためのチームメンバーとして対話を行います。

チーム形成の際には興味のある課題について対話を深めたい方だけでなく、興味を持った人ともっとじっくり話し合いたい方がいらしたようでした。結成されたチームでは、課題についての深堀り、課題の解決方法に関するアイデアだし、情報交換を中心に対話していただきました。沖縄農業について深い理解と高い課題意識をお持ちの方が多く、思わず聞き入ってしまうような面白いお話が繰り広げられていました。このグループワーキングには玉木氏も参加していただきました。

 

[7]最後に・・・
セッションの成果は、いつものように、室伏さんによりグラフィックレコードとしてまとめられました。皆さんの対話から拾われたキーワードもグラフィックレコードの大切な要素です。たくさんの意見やアイデアありがとうございました。

以上が第3回フューチャーセッション「農業×IT vol.1」のレポートでした。

今回は台風が迫る中フューチャーセッションに参加していただき、皆様本当にありがとうございました。「農業×IT」のテーマは複数回に渡って取り組んでいき、課題の深堀りから課題解説の糸口を探る対話を目指していきます。皆様の次回以降のご参加を心よりお待ちしております。